サッカーなどのクラブの卒団式の撮影は、運動会や試合と違い “光が弱く・動線が狭く・表情の変化が大きい” という、実はかなり難しい撮影です。
5回目の卒団式撮影となる今回は、複数カメラの活用・設置判断・トラブル対応・レンズ選択の判断など、現場で得た学びが非常に多い回になりました。
この記事では、
「卒団式をどう撮るか」ではなく「実際の現場で何を感じ、どう判断したか」
という“撮影者視点のログ”としてまとめています。
サッカー卒団式とは?感動的なセレモニーの内容と開催について
サッカーチームには大きく分けて、Jリーグの下部組織であるジュニアチームと、地元のボランティアで運営される街クラブがあります。この記事では街クラブの卒団式について書きます。
街クラブの卒団式は、選手・保護者・指導者が集まり、
- 卒団証書授与
- 記念品贈呈
- スライドショー上映
- 指導者挨拶
- 子どもたちからの感謝メッセージ
など、選手たちとその成長を支えてきた保護者、監督、コーチが一堂に会し、感動的な瞬間が多く生まれる式典です。

念入りな準備で臨むサッカー卒団式撮影 – 会場の把握から機材準備まで
会場としては、地元の公共施設、学校の体育館、イベントホールなどがよく利用されます。
今年の会場はコミュニティセンターのレセプションホール。
クラブチームのホームグラウンドからも近く、広さと設備も十分なのが特徴。


会場把握と最適な撮影ポジションの選定
会場の広さや照明、動線などを事前に把握してき、セッティングを計画しておきます。過去の経験から、これらは現場に入ってからのスムーズな撮影に繋がります。
今回は、全体を見渡せる後方中央にメインの撮影場所を確保することにしました(カメラ1)。

複数カメラ体制で臨む理由と機材紹介
卒団式では、様々な角度からの映像を記録したいもの。そこで、今回は計4台のカメラを準備しました。メインの後方カメラに加え、左右のサイドに定点カメラを設置。さらに、臨機応変に対応できる手持ちカメラも用意しました。なお、それぞれのカメラとレンズの役割は以下の通りです。
後方メインカメラ1:SONY DSC-RX10M3
全体像の把握やズーム撮影に最適。4K動画の美しさも魅力です。

外付けマイクで遠方の集音も可能

リモコン付き三脚で操作も楽で、不要な手ブレも軽減

USBで給電できない旧型カメラに有効

これにより、ほぼバッテリー切れの心配はない
サイド定点カメラ2:SONY α7IV + レンズ SEL2470GM2
時間制限なく高画質で記録できるため、長時間の定点撮影に安心です。
しかし高温で撮影が停止することがあるので要注意。

F2.8レンズは屋内でも十分な明るさで撮影可能

手前にあるマイクに向かって設置
サイド定点カメラ3:Insta360 GO 3S
広角で隅々まで捉えられ、コンパクトさも魅力のアクションカメラです。なお、Insta360 GO 3Sについてはこちらの記事で紹介しています。

三脚につけるアタッチメントは容易に取り付け可能

目立たない位置に配置
手持ちカメラ4:SONY α6400 + レンズ SELP1635G / SEL85F18
動きのあるシーンや、とっさのクローズアップに対応します。ちなみに、これらの機材紹介(α6400、SELP1635G)もよろしければご覧ください!


音響・その他機材の準備と反省点
BGM用のスマートフォンも、撮影担当ではありませんが念のため準備。ただ、古い機種だったため、アプリの起動に時間がかかってしまいました。やはり、事前の動作確認は大切ですね。
スムーズなセッティングは入念な準備から
式典開始の1時間前に会場入りし、実際にカメラの設置を開始。他の保護者の方々が飾り付けなどを進めてくださる中、私は撮影機材の準備に集中しました。そして約30分でセッティングを完了。その際に、式典前の会場の様子を忘れずに記録しておきます。これらは映像の素材として地味に役立ちます。




感動のサッカー卒団式、いよいよ開幕! – 撮影開始からアクシデント、そして感動のメッセージへ
いよいよ卒団式がスタート!9名の卒業生たちが、少し緊張した面持ちで入場してきました。ここから、喜びと感動のドラマが始まります。
各カメラでの撮影開始と全体を捉えるメインカメラ
選手入場と同時に、各カメラの録画を開始。まず、サイドの2台は定点撮影で全体を記録。さらに後方のメインカメラは、全体を捉えつつ、話者にズームするなど、変化をつけながら撮影していきました。
卒団証書・記念品授与での試行錯誤と反省点
卒団証書や記念品の授与シーンでは、横からの表情を捉えるために設置したサイドカメラに期待しました。しかし、Insta360 GO 3Sの設置位置が悪く、手前の人の背中ばかりが映ってしまうという失敗が…。その結果として、事前のシミュレーション不足を痛感しました。
● この失敗の原因
・設置角度を“高さ”だけで調整し、
・人が立ち止まる位置” の読みが甘かった
→ 式典では、機材と同じくらい 人の動きの予測 が重要。

さらに、SONY α7IVが撮影中に停止してしまうというアクシデントも。原因は特定できませんでした。しかし、過去に高温で停止したことがあったため、その可能性も考えられます。ここでもまた、事前の設定確認の重要性を改めて感じました。
● この失敗の原因
事前の確認(機器の仕様、動作テスト)が不十分だった
→ とはいえ、機材トラブルは避けられない。
大事なのは 即座に代替シナリオへ切り替える柔軟性。
メインで使用していたDSC-RX10M3は問題なく撮影できましたが、30分ごとの録画停止が必要なため、注意しながらの撮影となりました。そのため、イベント撮影には連続撮影が可能なビデオカメラが理想かもしれません。
手持ちカメラでのフォローとレンズ選択
サイドカメラの失敗をカバーするため、急遽手持ちカメラでの撮影に切り替えました。実は、当初は広角レンズSELP1635Gを使用していました。しかし、より表情を捉えたかったため、中望遠レンズSEL85F18に交換。これによって、背景のボケ感も良く、良い映像が撮れたと思います。ただ、手ブレが気になったので、やはり一脚は持参すべきだったと反省。
● この失敗の原因
・適切なレンズ選択の事前のシミュレーションが不足
→寄りの中望遠が一本あるだけで作品が変わる
・中望遠で動画を撮ると手ブレが大きくなることを失念
→一脚など手ブレを防ぐ装備を準備しておく
というのを改めて実感しました。

広角すぎたのでズーム。デジタルズームもあってか画像が荒い

APSC換算で約130mm。十分よれて画像もクッキリ。ボケもでる
クライマックス!選手から親御さんへの感謝のメッセージ
卒団式のクライマックスは、選手たちから親御さんへの感謝のメッセージ。涙ながらに言葉を贈る選手たちの姿を、手持ちカメラでしっかりと記録しました。感動的なシーンを間近で撮影できたことは、私にとってカメラマンとしてうまく立ち回れたと同時に、忘れられない思い出になりました!
サッカー卒団式を終えて – 反省と今後の展望
感動の卒団式は、無事に幕を閉じました。実のところ、撮影にはいくつかの反省点もありました。しかし、大きな失敗はなく終えることができたと思います。
今回の卒団式撮影で得た学び(撮影ログまとめ)
- 定点カメラは“人が立ち止まる位置”を最優先に読む
- 高画質機材ほど“安定性テスト”を必ず前日に行う
- 切り替えが必要な場面では、中望遠が最強の武器になる
- 広角は便利だが“感情”は写らない
→ 式典では寄れるレンズが重要 - 音響・BGM端末は古い端末を使わない(起動遅延のリスク)
- 設営は最低30分、できれば45分前から始めると安定する
毎回、何かしら小さなミスはあります。事前のシミュレーションと準備の重要性を改めて実感しました。しかし、その経験を活かして、次回の撮影に臨みたいと思います。
これからの作業 – 編集と最高の思い出作り
これからは、撮影した写真や動画の編集作業が待っています。
今回撮れた
- 寄りショットの感情
- 俯瞰の全体像
- 失敗カットをどう補完するか
これらを活かしながら、
子どもたちと保護者にとって“数年後に見返して価値がある作品”
を仕上げたいと思います。
編集作業については、また別の記事で詳しくご紹介しますので、お楽しみに!
利用した機材まとめ









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