みなさん、ジンバルやスタビライザーを使ってサッカーをする子どもたちを撮影したことがありますか。おそらくほとんどないでしょう。ジンバルって何?という人の方が多いかもしれません。私も他の人が使っているのを見たことがありません。
しかしVLOGをやっている人であれば知らない人はいないであろうくらいメジャーになりつつあります。試合の記録映像だけではなく、はたまた写真以外の動画も撮っていて、いつもちょっと違う映像を作りたいと思っている人には参考になるかもしれません(私がそうでしたので)。私の経験とともにどんな映像が撮れるか、機材やノウハウ的なこともご紹介します。
ジンバルでサッカー動画を撮影する理由とその活用法
ジンバルは動画撮影を滑らかにするためのスタビライザーで、特に歩きながらの撮影に便利です。サッカーの動画撮影にジンバルを活用することで、より臨場感ある映像や新しい視点を取り入れることが可能になります。本記事では、ジンバルの基本からサッカー動画での活用法まで詳しく解説します。
ジンバル・スタビライザーとは
ジンバル・スタビライザーは、カメラの揺れを軽減し、滑らかな動画撮影を可能にするツールです。主な特徴として、以下の点が挙げられます:
- 揺れを抑える効果:歩行中でも安定した映像が撮影できる。
- 回転軸の活用:カメラの向きを一定方向に固定したり、滑らかなパンやチルトを実現。
VLOG撮影やプロの映像制作でよく使われるジンバルですが、スポーツ撮影にもその効果を発揮します。特にサッカーのようなダイナミックなスポーツでは、新しい映像表現を可能にするツールです。
サッカー動画にジンバルを使うメリット
単にサッカーの試合の記録映像を撮るのであればジンバルもスタビライザーも必要ありません。練習風景にしても選手が動いている場合はカメラを固定して撮影した方が撮影しやすいですし、安定した動画が撮れるので、無理に撮影者が動く必要はありません。
しかし私の場合、毎回試合前の練習風景から撮影してイベントのダイジェストムービーを作っていたので前と同じような映像になりがちです。それでも映像は成立しますが、面白みにはかけてくると思います。なにより私自身が変化をつけられないかと感じました。そうです、映像のバリエーションを増やすためにジンバルを導入することにしたのです。
固定カメラでは得られないダイナミックな視点
サッカーの試合や練習風景を固定カメラで撮影する場合、画角が一定のため、迫力や臨場感に欠けることがあります。ジンバルを使えば、選手の動きに合わせた追従撮影や自由な移動による新しい視点を取り入れることができます。
練習風景のバリエーションを増やす
ジンバルは特に試合前のウォームアップや練習風景の撮影で力を発揮します。同じような映像になりがちなシーンも、移動撮影や選手をフォローするショットによって変化をつけることが可能です。これにより、より印象的なダイジェスト映像を制作できます。
ジンバルで実際にどんな映像が撮れるのか
私が文字で語るよりも見たほうが早いですので、Youtubeの動画のリンクを貼っておきます。こちらはおもに路面電車の作例ですが、これをサッカーをする子どもたちと見立てると、徐々に姿が現れたり、走っている様子を真横で捉え続けたり、止まっているところをグルっと回り込むように捉えたりする映像が撮れるようになります。
サッカー撮影で活躍したジンバル機材:選び方と導入例
ジンバルにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や用途が異なります。サッカー撮影に適した機材を選ぶためには、基本的なタイプや特徴を理解することが重要です。ここではジンバルの種類と、実際に私が使用した機材について紹介します。
ジンバルの種類と特徴
機械式ジンバル
機械式ジンバルは、内蔵されたバネで振動を吸収するシンプルな構造です。軽量で電源を必要としないため、扱いやすいですが、揺れを完全に抑えるには限界があります。手軽に使いたい場合や予算を抑えたい人に向いています。
電動式ジンバル
電動式ジンバルは、センサーで動きを検知し、モーターを使って揺れを抑える仕組みです。揺れの軽減性能が高く、多機能であることが特徴です。パンやチルトなどのスムーズな動きや、自動追尾機能なども搭載されており、VLOGやプロフェッショナルな映像制作で主流となっています。
電動式ジンバルの種類と用途
スマホ用の小型ジンバル
軽量で手軽に持ち運べるスマホ用ジンバルは、サッカー練習風景や簡易的な撮影に最適です。低コストで高品質な映像が撮影できるため、初心者にもおすすめです。
ミラーレス一眼カメラ対応の大型ジンバル
重い機材にも対応する大型のジンバルは、本格的な映像制作に適しています。特に試合中の選手の動きを追いながら撮影する場合、安定した映像を撮るために欠かせません。
実際に使用したジンバル機材の紹介
私がサッカー撮影で使用しているのは、スマホ用の軽量ジンバルとミラーレス一眼対応の中型ジンバルです。それぞれの特徴を生かして、以下のようなシーンで活用しています。
ZHIYUN WEEBILL-S(ジーウン ウィルビーエス):ミラーレス一眼用ジンバル
こちらはミラーレス一眼カメラにも対応した中型のジンバルです。フルサイズのミラーレスに中型のレンズまで載せることができます。持ち手を2つに変更でき、これにより安定性が向上し、また疲れにくくなります。機能は6つの撮影モード(ロック、パンフォロー、POV、Votex、フォロー、Go)、フォーカス・ズーム調整、オートキャリブレーションなど主要なものは載っています。
私が選んだ理由としては、搭載可能な機材重量に対して比較的小型軽量で、持ち手のバリエーションが機能的でギミックな感じ(三脚部分が多彩な持ち手になる)が気に入ったためです。Amazonのセールに釣られたというのもありますが・・。難点としてはクイックリリースプレートの取り付けに少しクセがあって毎回戸惑うことです。たまにしか使わないせいか、なかなか慣れないのですよね・・。
ZHIYUN CRANE M2 S:ミラーレス一眼用ジンバル
こちらもジーウン製のミラーレス一眼カメラやGoProに対応したジンバルです。WILLBEE-Sよりも小型軽量(およそ半分の549g)で持ち運びや片手での撮影に適しています。
機能的にはズーム・フォーカス調整がないなどWILLBEE-Sに劣りますが、そこまで重要ではないのであればジンバルとしては必要十分です。ペイロード(搭載可能重量)が小さくなり、およそ1KG(フルサイズ機+単焦点など)が限界です。このジンバルの性格上そこまで必要はなく、バランス的にも中型の構成ではなくて小型(APSCカメラ+小型ズーム)が適しています。
私が購入した理由は、WILLBEE-Sが同じクラスと比較して少し小型とは言え、サッカーの試合で持ち出すのにはちょっと大きくセッティングも大変だと感じ始めていたからです。こんなに小型ならもっと使いやすいかもと思い導入しました。思った通り使い勝手はグッとあがり、クイックリリースもやりやすくなっていました。
難点は、α7IVに非対応なことです。どうも最新のカメラへの対応が遅れているようです。とはいえカメラ本体の動画ボタンを押してしまえばあとは普通に使えるので、全く使えないということはないです。後継のCRANE M3Sはペイロードが向上していますが、重量も少し重くなっています。
Insta360 Flow Pro:スマホ用ジンバル
スマートフォン専用のジンバルです。CRANE M2Sよりもさらに軽量で持ち運びが容易で、撮影し続けていてもほとんど疲れることはありません。また取り付けもスマホを挟むだけなので、手軽にジンバル撮影を始めるのであればスマホ専用のジンバルがオススメです。
これは周囲でサッカー用ではないのですが使っている人がいて欲しくなり導入しました。正直ミラーレス一眼カメラの表現力にこだわらないのなら、こちらの方が良いかもしれません。私も手軽さからこちらを使うことが多いです。
この製品は被写体を自動で追尾するトラッキング機能が備わっており、撮影者が動かなくてもジンバルが自動で追尾してくれるのでより楽でスムーズな撮影になります。
Insta360 Flow Proについては機材紹介の記事で詳しく解説しているので、よろしければ御覧ください!
サッカー撮影のためのジンバル準備
ジンバルを使う前には準備はそれなりに手間と時間がかかります。ここではそれぞれのジンバルの詳細な解説は割愛して(別で書きます)どういったことが必要か述べます。まずは出かける前の事前準備についてです。
- 充電する・・・電動式はたいていバッテリーを内蔵していますので、フル充電しておきます。長時間使う場合はモバイルバッテリーも用意しておくと良いです。
- バランス調整する・・カメラをジンバルに実際に載せて安定させます。具体的なやり方はジンバルによって異なりますが(メーカーのマニュアルなどを参照)、要はカメラがまっすぐ向いた状態でどちらかに傾かないようにすることです。例えると、シーソーが釣り合った状態になるように真ん中の軸をずらすイメージです。
これも充電同様、出かける前にやっておく方が良いです。初めての時は当然ですが、久しぶりに使う時でも調整には結構時間がかかります。そのままだと持ち運びで邪魔になるのであれば、3軸のうちのどれかだけでも維持しておけば、その分現場での手間が減ります。少年サッカーは時間との戦いなので私はこのようにしています。 - ジンバルを固定してカバンに収納する・・・調整したジンバルをロックしてガタつかないようにしてカバンに収納します。ロック機構が付いているのでそれをすればよいのですが、調整位置によってはロックできないことがあります。その場合はバンドを用意して動かないように固定します。カバンの中で不用意に暴れて機材が傷ついたり、調整位置がズレてしまったら元も子もありません。
現場についてからの撮影方法について解説します。これも詳細は割愛します。
- カバンからジンバルを取り出して固定を解除する・・・固定しているバンドなどを外し、ジンバルを水平位置に置きます。テーブルなどがあればよいですが、ほぼないと思うのでコンクリートなどの地面で良いです。また調整中に倒れると大惨事なので、あまり人やボールが来ないところに置きましょう。
- カメラを載せてバランス調整する・・・出かける前の事前準備と同様にバランス調整します。直前でやっていれば比較的スムーズにできるかと思います。バンドで固定しているだけであればカメラを載せるだけ、カメラを載せた状態で固定したのであればそれすらいらないので楽です。ジンバル用のカメラを専用で用意しておくと、こうした運用も可能です。
- 電源を入れる・・・電源を入れて安定するか確かめます。事前にやっておけば問題ないはずです。
どうでしょうか。かなり手間がかかるなという印象を持ったかもしれません。これはミラーレス一眼用のジンバルの例で、スマホ用ジンバルだと調整がほぼいりません。これはスマホ自体が軽量なのでバランス調整をシビアに行わなくてもモーターへの負担が軽いためです。
少年サッカー向けのジンバル撮影方法
準備が整ったら、いよいよ撮影開始です。ジンバルを使った映像は多彩な表現が可能ですが、少年サッカーを撮る際には、どのような撮影方法が最適なのか悩むこともありますよね。ここでは、私が実際によく活用している撮影方法をいくつかご紹介します。これを参考に、シーンに合わせた撮影を楽しんでみてください。
フェイクドローンショット
フェイクドローンショットは、ドローンで空撮したような、やや高い位置から撮影する手法です。俯瞰視点で全体を見渡せる映像を撮ることができ、スライドショー映像の冒頭シーンなどに最適です。
この手法を実現するには、ジンバルを丈夫な一脚に取り付けて高い位置から撮影を開始するのがおすすめです。たとえば、準備運動中の子どもたちが円を囲んでいる場面では、カメラを上空に固定した状態から徐々に位置を下げながら被写体に近づくことで、ドローンが斜めに降下していくようなダイナミックな映像を再現できます。
リビールショット
リビールショットは、最初に被写体が映っていない状態から、被写体が徐々にフレームイン(画角に入ってくる)する撮影手法です。被写体の登場シーンやシーン転換の際に使いやすく、映像にメリハリを与える効果があります。
たとえば、1対1のボール奪い合いのシーンでは、両サイドから子どもたちが飛び出してフレームインするように撮ると、自然で動きのある映像になります。この手法は他の撮影手法と組み合わせることで、さらにバリエーション豊かな映像表現が可能です。いろいろなパターンを試して、自分のスタイルに合った活用法を見つけましょう。
スライダーショット
スライダーショットは、被写体の真横に位置し、進行方向に合わせて撮影者も移動しながら撮影する手法です。この撮影方法を用いることで、まるで被写体と並走しているかのような視点が得られ、迫力のある映像を演出できます。特にスライドショーの中盤など、盛り上がるシーンで活用すると効果的です。
ただし、横移動中の上下の揺れを抑える工夫が必要で、安定した映像を撮るには練習が欠かせません。また、走行方向にある障害物にも注意が必要なため、撮影難易度はやや高めです。めです。
オービットショット
オービットショットは、被写体の周囲を一周しながら撮影する手法です。この技術を使うと、被写体を360度あらゆる角度から捉え、よりドラマチックな映像を生み出すことができます。また、被写体の横や裏側の様子も映し出せるため、立体感やストーリー性を高める効果があります。
特に、子どもたちが小さな円を作って話し合っているシーンなどで活用すると、全員の表情をバランスよく収めることができるため、撮影の頻度が高い手法の一つです。このショットは、場面全体の雰囲気を伝えながら、子どもたち一人ひとりの個性を引き立てる映像を作りたい時に最適です。
サッカー撮影でジンバルを使ってみて:わかったこと、注意すること
ジンバルを使うことで撮影の楽しみが広がりました。いろいろな撮影方法を考えることになるので、その過程を楽しめるのとクリエイティブな映像が無限に作れます。
一方でデメリットとしては、やはり準備と手間がかかることです。例えば試合のある1日をカメラ1台で運用しようとすると、準備していても付け替えの手間と時間はどうしても発生します。この瞬間を捉えたい、というタイミングを逃しがちです。
まとめ
いかがだったでしょうか。ジンバル撮影に興味が持てたでしょうか。ちょっと違う映像を撮影してみたいという人にはオススメです。「わかったこと、注意すること」で述べたように、なかなか悩ましい点もありますが、イベントやシチュエーションに応じて使うようにすると良いです。まずは手軽なスマホジンバルで試すのが良いと思います。
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