みなさん、ジンバルやスタビライザーを使ってサッカーをする子どもたちを撮影したことがありますか。おそらくほとんどないでしょう。ジンバルって何?という人の方が多いかもしれません。私も他の人が使っているのを見たことがありません。
しかしVLOGをやっている人であれば知らない人はいないであろうくらいメジャーになりつつあります。試合の記録映像だけではなく、はたまた写真以外の動画も撮っていて、いつもちょっと違う映像を作りたいと思っている人には参考になるかもしれません(私がそうでしたので)。私の経験とともにどんな映像が撮れるか、機材やノウハウ的なこともご紹介します。
ジンバル・スタビライザーとは
ジンバル・スタビライザーは、おもに動画を歩きながら撮影する時に使うもので、これにカメラを取り付けておくと歩いた時の揺れが軽減されてなめらかな動画になります。さらにジンバルは回転軸をそなえており、カメラの向きを一定方向に固定したり、なめらかに向きを変えたりすることができます。
VLOGなどは歩きながら撮影することが多いのでとても良く使われます。またVLOG以外でも被写体を追いながら撮影する時にプロ並みの滑らかな映像が撮れるので、映像制作に関わる人が使うようになっています。
なぜジンバルでサッカーの動画を撮影するのか
単にサッカーの試合の記録映像を撮るのであればジンバルもスタビライザーも必要ありません。練習風景にしても選手が動いている場合はカメラを固定して撮影した方が撮影しやすいですし、安定した動画が撮れるので、無理に撮影者が動く必要はありません。
しかし私の場合、毎回試合前の練習風景から撮影してイベントのダイジェストムービーを作っていたので前と同じような映像になりがちです。それでも映像は成立しますが、面白みにはかけてくると思います。なにより私自身が変化をつけられないかと感じました。そうです、映像のバリエーションを増やすためにジンバルを導入することにしたのです。
どんな映像が撮れるのか
私が文字で語るよりも見たほうが早いですので、Youtubeの動画のリンクを貼っておきます。こちらはおもに路面電車の作例ですが、これをサッカーをする子どもたちと見立てると、徐々に姿が現れたり、走っている様子を真横で捉え続けたり、止まっているところをグルっと回り込むように捉えたりする映像が撮れるようになります。
どんな機材があるか
ジンバル・スタビライザーには機械式と電動式があります。機械式はバネを備えたもので、バネで振動を吸収するものです。電動式はセンサーで動きを捉えて、それに反発した動きをモーターを使って動かすことで揺れを吸収します。
電動式の方は揺れを抑える以外にも多くの機能を備えていますので、VLOGなど個人の映像制作では電動式が主流です。
電動式でもスマホ用の小型のものからミラーレス一眼カメラなど重い機材まで載せられるものまであります。参考までに私が導入した機材を紹介します。
■ ZHIYUN WEEBILL-S(ジーウン ウィルビーエス)・・・こちらはミラーレス一眼カメラにも対応した中型のジンバルです。フルサイズのミラーレスに中型のレンズまで載せることができます。持ち手を2つに変更でき、これにより安定性が向上し、また疲れにくくなります。機能は6つの撮影モード(ロック、パンフォロー、POV、Votex、フォロー、Go)、フォーカス・ズーム調整、オートキャリブレーションなど主要なものは載っています。
私が選んだ理由としては、搭載可能な機材重量に対して比較的小型軽量で、持ち手のバリエーションが機能的でギミックな感じ(三脚部分が多彩な持ち手になる)が気に入ったためです。Amazonのセールに釣られたというのもありますが・・。難点としてはクイックリリースプレートの取り付けに少しクセがあって毎回戸惑うことです。たまにしか使わないせいか、なかなか慣れないのですよね・・。
■ ZHIYUN CRANE M2 S・・・こちらもジーウン製のミラーレス一眼カメラやGoProに対応したジンバルです。WILLBEE-Sよりも小型軽量(およそ半分の549g)で持ち運びや片手での撮影に適しています。機能的にはズーム・フォーカス調整がないなどWILLBEE-Sに劣りますが、そこまで重要ではないのでジンバルとしては必要十分です。ペイロード(搭載可能重量)が小さくなり、およそ1KG(フルサイズ機+単焦点など)が限界です。このジンバルの性格上そこまで必要はなく、バランス的にも中型の構成ではなくて小型(APSCカメラ+小型ズーム)が適しています。
私が購入した理由は、WILLBEE-Sが同じクラスと比較して少し小型とは言え、サッカーの試合で持ち出すのにはちょっと大きくセッティングも大変だと感じ始めていたからです。こんなに小型ならもっと使いやすいかもと思い導入しました。思った通り使い勝手はグッとあがり、クイックリリースもやりやすくなっていました。難点は、α7IVに非対応なことです。どうも最新のカメラへの対応が遅れているようです。とはいえカメラ本体の動画ボタンを押してしまえばあとは普通に使えるので、全く使えないということはないです。後継のCRANE M3Sはペイロードが向上していますが、重量も少し重くなっています。
■ Sukitekie スマホ用ジンバル・・・スマートフォン専用のジンバルです。CRANE M2Sよりもさらに軽量で持ち運びが容易で、撮影し続けていてもほとんど疲れることはありません。また取り付けもスマホを挟むだけなので、手軽にジンバル撮影を始めるのであればスマホ専用のジンバルがオススメです。これは周囲でサッカー用ではないのですが使っている人がいて欲しくなり導入しました。正直それほど動画のバリエーションにこだわらないのならこのくらいで十分かもしれません。私も手軽さからこれを使うことが多いです。
ただ現在は販売終了となっているため、メジャーなDJIかInsta360の方をオススメします。最新の製品ですと被写体を自動て追尾するトラッキング機能が備わっており、撮影者が動かなくてもジンバルが自動で追尾してくれるのでより楽でスムーズな撮影になります。
撮影の準備
ジンバルを使う前には準備はそれなりに手間と時間がかかります。ここではそれぞれのジンバルの詳細な解説は割愛して(別で書きます)どういったことが必要か述べます。まずは出かける前の事前準備についてです。
- 充電する・・・電動式はたいていバッテリーを内蔵していますので、フル充電しておきます。長時間使う場合はモバイルバッテリーも用意しておくと良いです
- バランス調整する・・カメラをジンバルに実際に載せて安定させます。具体的なやり方はジンバルによって異なりますが、要はカメラがまっすぐ向いた状態でどちらかに傾かないようにすることです。例えると、シーソーが釣り合った状態になるように真ん中の軸をずらすイメージです。
これも充電同様、出かける前にやっておく方が良いです。初めての時は当然ですが、久しぶりに使う時でも調整には結構時間がかかります。そのままだと持ち運びで邪魔になるのであれば、3軸のうちのどれかだけでも維持しておけば、その分現場での手間が減ります。少年サッカーは時間との戦いなので私はこのようにしています - ジンバルを固定してカバンに収納する・・・調整したジンバルをロックしてガタつかないようにしてカバンに収納します。ロック機構が付いているのでそれをすればよいのですが、調整位置によってはロックできないことがあります。その場合はバンドを用意して動かないように固定します。カバンの中で不用意に暴れて機材が傷ついたり、調整位置がズレてしまったら元も子もありません。
現場についてからの撮影方法について解説します。これも詳細は割愛します。
- カバンからジンバルを取り出して固定を解除する・・・固定しているバンドなどを外し、ジンバルを水平位置に置きます。テーブルなどがあればよいですが、ほぼないと思うのでコンクリートなどの地面で良いです。また調整中に倒れると大惨事なので、あまり人やボールが来ないところに置きましょう
- カメラを載せてバランス調整する・・・出かける前の事前準備と同様にバランス調整します。直前でやっていれば比較的スムーズにできるかと思います。バンドで固定しているだけであればカメラを載せるだけ、カメラを載せた状態で固定したのであればそれすらいらないので楽です。ジンバル用のカメラを専用で用意しておくと、こうした運用も可能です
- 電源を入れる・・・電源を入れて安定するか確かめます。事前にやっておけば問題ないはずです
少年サッカー向けの撮影方法
準備ができたら実際に撮影します。すでにご紹介したYoutube動画の通りジンバルを使った映像は多彩なだけに、少年サッカーを対象とした場合はどう撮影すればよいか迷いますよね。私がよくやる撮影方法をいくつかご紹介します。
- フェイクドローンショット・・・ドローンから空撮したような、やや上空からの位置で撮影する方法です。全体を見渡せる俯瞰した映像になるので、スライドショー映像の最初のシーンで使いやすいです。できればジンバルを丈夫な一脚に取り付けて高い位置から撮り始め、例えば円を囲んで準備運動をしている子どもたちに近づくにつれて徐々にカメラの位置を下げていくと、あたかもドローンが上空から斜めに被写体に向かってくるような映像になります
- リビールショット・・・被写体が映っていない風景から被写体がフレームイン(画角に入ってくる)してくる撮影方法です。被写体の登場やシーンの切り替わりなどで使いやすいです。例えば1対1のボールの奪い合いを両サイドから飛び出してくる子どもたちがフレームインするようにするなどで違和感のないシーンが作れます。このショットは他のいろいろなショットと組み合わせることでさらに多彩になりますので、いろいろ試してみると良いです
- スライダーショット・・・被写体の真横の位置から被写体の進行方向に合わせて撮影者も移動しながら撮影する方法です。まるで並走するサッカー選手の視点のようになるので迫力のある映像になります。スライドショーの中盤の盛り上がるシーンで使いやすいです。横向きに走るので上下の揺れを抑えるようにしつつ、走った方向の障害物などに注意が必要なので、難易度は高めです
- オービットショット・・・被写体の周りをグルっと回って撮影する方法です。被写体の360度の角度から捉えるので、ドラマチックになるのと、被写体の横側や裏側の様子が見られる映像になります。子どもたちが小さく円を囲んで話している時などに使うと、すべての子どもたちの顔を捉えることができるので使用頻度は高いです
わかったこと、注意すること
ジンバルを使うことで撮影の楽しみが広がりました。いろいろな撮影方法を考えることになるので、その過程を楽しめるのとクリエイティブな映像が無限に作れます。
一方でデメリットとしては、やはり準備と手間がかかることです。例えば試合のある1日をカメラ1台で運用しようとすると、準備していても付け替えの手間と時間はどうしても発生します。この瞬間を捉えたい、というタイミングを逃しがちです。
まとめ
いかがだったでしょうか。ジンバル撮影に興味が持てたでしょうか。ちょっと違う映像を撮影してみたいという人にはオススメです。「わかったこと、注意すること」で述べたように、なかなか悩ましい点もありますが、イベントやシチュエーションに応じて使うようにすると良いです。まずは手軽なスマホジンバルで試すのが良いと思います。
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